サルの凍結した未成熟な精巣から精子を作成、出産に成功
こんにちは、培養室です。
GWまであと1週間ですね。病院や銀行では長期のお休みに入るところも多いそうで、その直前直後はとても混み合いそうです。手元に置いておくお金を早いうちに準備しておこうと思って、もう今週になってしまいました。明日こそは!
なかむらレディースクリニックはGW期間(4/27~5/6)もお休みなしで診察します(全日午前診のみ)。また、5/5の男性不妊外来も予定通り行います。
普段は忙しくてなかなか来られないという方も、この機会にお気軽にお越しください。
さて、今日はニュースをひとつ、ご紹介します。
「凍結した精巣使い出産、サルで成功、不妊治療に光」ナショナルジオグラフィック日本版より
男性から採取した精子を凍結して保存しておく方法は確立されています。精液所見によって事情は異なるものの、妊孕性の温存が期待できます。しかし、小児ガンにかかるなど子供の頃に治療が必要になった場合の妊孕性保存は難しいものでした。
精巣組織を採取して保存しておき、のちに移植を行って、精子が生成されるところまでは複数の動物種で確認されています。未成熟な精巣組織をヌードマウス(免疫不全の実験用に飼育されるマウス)に移植して成熟した精子を獲得できた例などです。しかし、そこから得られた精子を使って、実際に子供が生まれた例はあまりありませんでした。
今回の報告では、未成熟のアカゲザルから取り出した精巣組織をサルに皮下移植しました。その後、得られた精子を使って体外受精をして、無事に出産に至ったそうです。
もちろん、「グレイディ」と名付けられた赤ちゃんの例が、直ちにヒトに転用できるわけではありません。実用に至るまでには数多くの問題があります。それでも小児ガンの生存性が上がっている現在では、将来的に不妊治療が必要になることもあるでしょうから、今回の報告は非常に良い知らせになると思っています。