体外受精 児、14人に1人に(2019年)
こんにちは、培養室です。
ホームページリニューアルの関係でコラムの更新が止まっている間にあたりは随分秋めいてきましたね。気がつけば2021年も残り1/4を切り、迫る歳末の足音が聞こえてくるようです。
さて、今回はニュースの記事をご紹介します。毎年恒例の全国体外受精成績報告です。
体外受精 で生まれた子、14人に1人…19年は過去最多6万598人が誕生【読売ONLINE】
https://www.yomiuri.co.jp/medical/20210914-OYT1T50152/
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去年の記事はこちら
https://www.towako-nakamura.com/clinic/column/column-177/
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2年前に行った体外受精の結果が公表されました。
いきなり蛇足ですが、昨年ではなく2年前のものが今頃出てくるのにはどうしてでしょうか。
2年前の治療周期に即して考えてみます。2019年12月末に移植をされた方の出産予定日は2020年9月下旬です。過産期(妊娠42週以降)に出産される方も少数ながらおられますので、2019年に治療をされた方の全周期完了の見込みは2020年10月。治療を実施した施設で集められる情報の中にはその予後に関する質問も含まれているため、必要な情報が実施施設に集まってくるのは2020年10月よりも更に後ろになります。
そうやって全国津々浦々の各施設による収集が完了した情報が、日本産婦人科学会へ送られてまたそこで集計され、世間に公開されるのが2021年の秋頃になのだろうと思います。
では本題に戻ります。
2018年(16人に1人)に比べると、体外受精による出生児の占める割合がさらに増えました。
2018年 | 2019年 | 増減 | |
治療周期数 | 45万4893件 | 45万8101件 | 3208件 増↑ |
出生児数(ART) | 5万6979人 | 6万598人 | 3619人 増↑ |
総出生児数 | 91万8400人 | 86万5234人 | 5万3166人減↓ |
体外受精による出生児の割合増加は、2018年に引き続き総出生児数の著しい減少によるところが大きいです。
2017年→2018年では体外受精の治療件数約6600件増/出生児数362人増で、ほぼ頭打ちでした。2018年→2019年の治療件数も同様にほとんど横這いです。一方で出生児数が大きく増えたのは喜ばしいことですが、これは治療を受けられる方の若年齢化が一因なのではないかと思います。
そんな2019年体外受精でしたが、当院では190人のお子さんが元気に生まれました。本当におめでとうございます。今後とも、ひとりでも多くの方のよろこびに寄与できるよう、培養室一丸となって日々努めてまいります。
出産報告のお願い
国内で行われた体外受精には報告義務が課せられています。
このコラムで話題になっている「2019年」の当クリニック症例に関しては全症例報告ができました。ひとえに出産報告のお手紙をくださった皆さまのご協力のおかげです。信頼できる不妊治療成績を提供するために、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
名前など個人を特定できる情報は省いたうえで報告しておりますのでご安心ください。