肥満と自然妊娠の関係
こんにちは、培養室です。
梅雨入りしましたね。癖毛なもので、もう毎日毎日髪の毛がぐるんぐるん巻くわ絡むわ鳥の巣状態で大変です。外出自粛の流れもあって、なんとなく散髪せずに過ごしていたので余計に始末に負えません。
また、外出自粛が要請されるなかで運動不足が懸念されたり、「コロナ太り」という言葉が聞かれるようになりました。それに託けて今日は論文を一つご紹介します。
Female adiposity and time-to-pregnancy: a multiethnic prospective cohort (Hum Reprod. 2018 Nov 1; 33(11): 2141–2149.)
477人の自然妊娠を希望する女性のBMIと、彼女たちが妊娠に至るまでの期間の関係を調べた論文です。2018年のHuman Reproductionに掲載されていました。
過度の肥満、過度の痩せ、いずれも妊娠を阻害する要因として知られていますが、論文の多くは欧米の方を対象に行われていました。当然ながら日本人とは体格などの条件が大きく異なっています。論文が掲載された2018年のアメリカで行われた調査では20歳以上の女性平均BMIは29.6だそうで、日本人女性の平均値22.6と比べると、非常に高い値であることがお分かりいただけると思います。
また、WHOではBMI >25の方を過体重(overweight)、BMI >30の方を肥満と定義していますが、日本人を含むアジア人は軽度肥満でも代謝異常を起こしやすいという報告もあり、やはり論文上での評価をそのまま当てはめることは難しいようです。その点、今回の論文はアジア人女性(中国、マレー、インド)を対象に行っているため、より身近な結果であると考えられます。
論文では、BMIを「<18.5」「18.5~22.9」「23~27.4」「≧27.5」に分類して、「18.5~22.9」群の方を基準にして検討した時、「23~27.4」群の方が0.66、「≧27.5」群の方が0.53となっており、妊孕性の低下が確認できています。この場合の妊孕性の低下とは、妊娠までの期間が長くなるということを示しています。「23~27.4」群の段階から7割を切るのにはとても驚きました。自然妊娠を希望する場合には、BMI「18.5~22.9」の範囲で体重を収めるのが良いようです。
アイスが美味しい季節ですが、適度な運動と健康的な食生活による体重管理を心掛けていきたいところですね。