新鮮胚移植vs凍結胚移植
こんにちは、培養室です。
一昨日のゲリラ豪雨はすごかったですね。皆さんは大丈夫でしたか?
新鮮胚移植と凍結胚移植はありとあらゆる項目について、比較の対象になっています。今回ご紹介する論文は、生理周期が一定の女性に限った場合、全胚凍結後の凍結胚盤胞移植と新鮮胚盤胞移植のいずれが適しているか検討した論文です。デンマーク、スペイン、スウェーデンにある不妊治療院の計8施設が参加し、多施設無作為比較試験を行いました。
Freeze-all versus fresh blastocyst transfer strategy during in vitro fertilisation in women with regular menstrual cycles: multicentre randomised controlled trial
治療が1~3回目までの19〜39歳女性、460人が対象です。妊娠8週目段階での妊娠継続率などを確認しました。
結果、妊娠8週目時点での妊娠継続率、出生率のいずれにも有意差は見られませんでした。
新鮮胚移植 | 凍結胚移植 | |
妊娠継続率 | 29.6% | 27.8% |
出生率 | 28.7% | 27.4% |
新鮮胚移植群では早産率が高くなり、凍結胚移植群で平均出生体重が増加するという2点において、双方にリスク差が見られましたが、そのほかには妊娠経過・新生児に関するリスク差はなかったようです。このほか、新鮮胚移植群では11mm以上の卵胞が18個以上ある場合は移植を中止するなど、安全に注意を払いながら行われた検証でしたが、1例OHSSになった症例がありました。
また、凍結胚移植群では、胚盤胞凍結がなかなかできない患者さんの場合、妊娠に至るまでの期間が長くなりました。
胚盤胞までの発育が確認できれば、新鮮胚移植・凍結融解胚移植の間に違いはないという結果ですね。
周期が安定している女性という条件設定はありますが、新鮮胚移植に比べた時に「凍結」「融解」という過程を挟むことに不安を覚えておられる方には安心していただける報告だと思います。