70歳女性が体外受精で男児出産
こんにちは、培養室です。
暦の上では昨日から「霜降(霜が降りる時候であることから)」に入りました。
その次は「立冬」にあたり、いよいよ冬が来ます。実際にもこの1週間ほどで急激に寒くなり、寒さに身体が追いつかず体調や心が乱れやすい時期です。どうぞ暖かくしてお過ごしください。
今回のコラムでは体外受精に関するニュースをご紹介します。
インドでまた! 70歳女性が男児出産で「体外受精に年齢制限を」の声
⏩https://article.yahoo.co.jp/detail/d664875bf5c2aabb0e88296fdf2d71018f33dea3(Yahoo! ニュース)
今月上旬に、インドで70歳女性が男の子を出産しました。
当然ながら自然妊娠ではなく、体外受精によるものです。73歳女性が体外受精により双子を出産した(インド/2019年)という報告があったように、日本では見られないような高齢女性に対する体外受精が散見されます。インドには生殖補助医療に関するガイドラインが2005年に制定されており、以降改定や法整備がなされています。ただ、これらの決まりは必ずしも守られているわけではないようで、今回の症例に関しても「頼み込まれた結果、治療を実施した」ということであるようです。
ホルモン剤などのサポートが必要ではあるものの、子宮は意外と長くその働きを保持しています。ですから、高齢女性の妊娠自体は不可能ではありません。しかし、糖尿病や高血圧、流産等のリスクが高く、起こった合併症がいのちを脅かすこともあります。生まれてくる子供たちの福祉も目を逸らしてはならない問題です。技術として実行可能であることと、実際に行うべきかどうかは全く別物であり、十分な検討が必要です。
少し話がズレますが、2005年のガイドラインには代理出産(代理母)を認める記述もあり、かつては商業的代理出産を目的とした訪印が多くあったようです。これらの代理母によって多くの方が我が子を抱くことができたということと、代理母には様々なトラブルや問題点が数多く伴うことはコインの裏表のように切っても切れない関係です。インドでは2015年以降、段階的に商業的代理母への制限が強められています。当時「外国人に対する代理母が禁止された」というニュースが報道されたことを覚えています。
話を戻して、不妊治療の年齢制限は国によって様々です。
イギリスでは「42歳」というように治療に年齢制限を設けている国もあれば、日本のように明確な制限は設けていない国もあります。卵巣機能の減衰には個人差が大きく、誰にでも当てはまる年齢制限の設定は困難です。ただ、日本でも助成金の支給は43歳までであるように、何歳までもウェルカム! というわけではありません。日本で70歳の方が治療にお見えになられてもお断りされると思います。
お子さんを希望する方は一度クリニックで検査を受けて、今後の方針について検討してみてはいかがでしょうか?