第61回卵子学会学術集会を視聴しました
こんにちは、培養室です。
先日、WEB開催された第61回日本卵子学会学術集会に参加しました。
今年の学会は新型コロナウイルスの影響を受け、ほとんどが開催の中止、延期を経てWEB開催に切り替えて行われています。WEB開催の学会は、本来同一時間で行われるはずの演題でも期間中であればどこでも視聴可能なので現地での開催より多くの演題に触れることが出来ました。
今回はその中で「胚盤胞に認めるFilopodiaと妊娠率の関係性について」お話しします。
Filopodiaとは簡単に言うと細い糸のような細胞質です。
Filopodiaの役割は、初期胚においては隣接する細胞間で認められ細胞接着や細胞融合に関与し、胚盤胞においてはICM-TE間で認められ細胞間でのシグナル伝達に関与すると考えられています。
*ICM(inner cell mass)内部細胞塊と呼ばれる将来赤ちゃんになる細胞
*TE (trophectoderm)栄養膜細胞と呼ばれる将来胎盤になる細胞
今回の発表ではFilopodiaが確認された胚盤胞において高い妊娠率になる可能性が示唆されましたが、まだまだ検討が必要と報告していました。
当院ではタイムラプスインキュベーターで胚培養しているので、胚の観察時のFilopodiaの有無は移植胚選択時の評価要素の一つとして参考になるかもしれません。
これからも日々最新の知見を学び、治療に役立てたいと思います。