当院培養室での取り違え防止の取り組みについて
先日、検体の取り違え防止の対策についてお問い合わせをいただきましたので回答します。
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当院培養室での取り違え防止の取り組みについて
- 卵子・精子・胚を取り扱う作業領域には1名分の卵子・精子・胚を出して作業することを徹底しています。
- 作業開始前にはカルテ上に表示された患者名と使用する物品や精液カップ等の容器に記載された患者名に相違がないか培養士2名以上で確認を実施しています。
- 精子・卵子・胚が別容器に移される際には電子カルテに表示された患者名と移動前後の容器に記載された患者名に相違ないか培養士2名以上で確認を実施しております。
- 同姓または同名患者の精子・卵子・胚を取り扱う際には、同じ姓または名に赤線を引き、異なる姓または名を赤丸で囲む。また、該当患者同士の精子・卵子・胚が近接しないようにしています。
- 患者識別補助の為、採卵時及び移植時に使用する容器には、あ段:青、い段:黄、う段;赤、え段:桃、お段:緑による色分けを実施しています。
採卵・移植日当日に診察券を持参されていない場合は、上記の限りではございません。
院内に持ち込まれた後の精子、院内で採取された精子・卵子・胚については1.~5.の方法にて取り違えがないよう努めております。
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今年に限っても、ロサンゼルスで取り違えられた胚の移植がDNA検査によって発覚した事例がありました。体外受精は人生を大きく左右する出来事であり、どのような経緯で発生したにせよ、胚や検体の取り違えは到底許されるものではありません。
同時に、培養士は人です。人はミスをする生き物です。「私絶対失敗しないので」とは、なかなか言えません。
だからこそ、いつ起こるかもしれないミスを事前に防げるように、対策を重ねてきました。今後ともヒューマンエラーは常に起こり得るものだと考え、培養士それぞれが真摯に業務に向き合って参ります。