ブライダルチェックについて
「ブライダルチェック」を希望して当院を受診される方がおられます。
当院では一般的な意味でのブライダルチェックはしていません。
ブライダルチェックは妊娠を意識した方が性感染症、女性ホルモン、AMH(卵巣の予備能)や子宮卵巣の超音波などを行うもので保険診療ではなく、人間ドックと同様に自費になります。施設によって内容は異なります。また、結婚前に行う検査を指す場合が多いと思います。
当院は不妊治療専門クリニックなので、ブライダルチェックではなく、不妊原因のスクリーニング検査を行いながら、同時にタイミング法など、実際に妊娠に向けた取り組をして頂きます。
そのため、対象となるのは法律婚、あるいは事実婚の関係にあるカップルとなります。ときどき、ご夫婦の方で「妊娠できるかどうかを調べてほしい。検査だけを希望します。」といった相談があるのですが、これも答えにくい問題です。
ホルモン検査、卵管の検査、精液検査など不妊スクリーニングに問題があるかないかを調べ、結果をお答えすることはできるのですが、原因がなくても妊娠がなかなか成立しない場合も多いのです。また、妊娠の成立にはまだわかっていないことも多く、検査ですべてが分かるわけではないのです。例えば、卵子が卵管に取り込まれていない可能性も考えられますが、一般的な検査では証明できません(ピックアップ障害といいます。)
WHOなどでは、10%程度が原因不明とされていますが、その割合はもっと多いと考えています。といいますのも、原因の多くは相対的なものだからです。たとえば、排卵障害と診断されても適切な時期に受精が起こり、着床すれば妊娠可能だからです。そもそも「妊娠できるかどうか」の証明は、カップルが生殖年齢を過ぎた時点で妊娠したか、しないかでしか判断できないのです。
→不妊の原因・検査はこちら。
まあ、厳密な意味はさておき、来院される方のゴールは妊娠、出産だと思います。検査はあくまでもスクリーニングであって、問題がなくとも自然妊娠が可能かどうかまではわからないと考えてください。
妊娠を希望されていない状況でブライダルチェックを検討されている方は、上記の事を踏まえて、一般の婦人科でできる事も多いですので、お近くの施設でご相談される事をお勧めします。
院長 中村嘉宏