関係ある? ない? 男性年齢と不妊治療1
こんにちは、培養室です。
今日は男性の年齢についてのお話をします。
不妊治療と男性年齢の関係は、本人のポテンシャルやパートナーの条件で結果が大きく左右されてしまうこと、そもそもパートナーの年齢が話題になりやすいこともあって、注目されづらい側面がありますね。
Fertility and the Aging Male
Isiah D Harris et al., Rev Urol. 2011; 13(4): e184–e190.
今回ご紹介する論文は、年齢による精液状態や男性機能の変化を追いかけた様々な論文を紹介、まとめたものです。
多岐に渡る項目をまとめていらっしゃるので、今回は一部をご紹介します。
精子濃度(1mlあたりに含まれる精子の数)や精液量を始めとして、長い期間数値がそれほど大きく変わらない項目があるものの、全体的に年齢と共に悪化していきます。加齢によって精漿※を分泌する腺機能が衰えることで、結果として精子の質も低下してしまうことが明らかになっています。
※精液は精子と精漿(せいしょう)の混合物で、全体のおよそ9割が精漿です。
精漿は前立腺や精嚢腺から分泌された液からできています。それぞれ精子のエネルギー源になる栄養を含んでいたり、適切なpHを維持して精子を保護するなど、精子が受精能を獲得する上で必要不可欠な役割を担っています。
この他、精子DNAのフラグメンテーション(断片化)は、精巣上体の機能が低下した動物に見られていることや、増加することことで不妊治療の成績が低下することも分かっています。
また、女性の年齢を考慮して上で30歳未満の男性と40歳以上の男性を比較した場合、1年間の妊娠成立率は後者が30%低い調査結果も出ています。
機会を持つ頻度も妊娠成立に関わる要素の一つですが、年齢を重ねることでパートナーと機会を持つ回数の減少が見られ、これらの原因は一部は性機能の低下によって起こっていると考えられます。
精液検査のススメ
男性の年齢によっても妊娠に影響が出ることが明らかになってきています。
一度も精液検査を受けたことのない方は、ひとまずご自身の状態を確認し、家族計画や今後の治療方針をご夫婦で話し合ってみてはいかがでしょうか?
当院では、お電話(06-6378-7333)にて精液検査の予約を承っております。
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