よく聞かれる質問 〜妊活中のお薬〜 花粉症編
皆様、こんにちは。院長の中村嘉宏です。
厳しい寒波も峠を過ぎたようで、もうすぐ春の気配がしてくることでしょう。
春は一年で最も待ちわびた季節ですが、花粉症の人にとっては憂鬱な季節です。この季節にはよく、「花粉症のお薬は大丈夫ですか?」という質問をよく受けます。
憂鬱な季節を乗り越えるために
花粉症の有病率は29%〜39%とされており、多くの人が悩まされています。
鼻や目のなんともしようがないようなむずかゆさなど、花粉症ではない人にはこのつらさはわからないかもしれません。
かくいう私も35歳くらいに花粉症を発症するまで想像できませんでした。それまでは、外来で花粉症の相談を受けると「鼻や目がかゆいぐらいがなぜそんなにつらいのだろうか」ぐらいにしか考えておりませんでした。
ごめんなさい。反省しております。
このつらい花粉症ですが、花粉が飛び始める前、2月頃からアレグラを服用することにしたところ、ずいぶん症状がましになりました。アレグラの予防内服をするようになってからは調子がいいです。
妊活中のお薬 〜花粉症編〜
妊活中の皆様で花粉症の方も安心してください。
花粉症に対するお薬も基本的にはほとんどが安全とされています。
1.内服薬
まず、内服薬ですが抗ヒスタミン剤と呼ばれるお薬が基本となります。
代表的なものがアレグラ、アレジオン、ジルテック、ポララミンなどです。
これらは、添付文章上、妊娠中は「有益性投与(薬の効果が不利益を上回る)」の扱いです。
つまり症状がつらければ内服可能という扱いです。
抗ヒスタミン剤のうち、セルテクトが添付文章上、妊婦禁忌(妊娠中は内服しないでください。)という扱いですが、特に胎児に影響があったなどの合理的理由はありません。まあ、添付文書に禁忌とあるので、セルテクトを内服中の方は他の有益性投与のお薬に切り替えればいいだけなのです、心配しないでください。
2.点鼻薬・点眼剤
また、点鼻薬や点眼剤もザジテンやリボスチンのような抗ヒスタミン剤の系統は安全に使えます。
よくインタールという処方をみるのですが、これは抗ヒスタミン剤ではありません。このお薬も血液にはあまり吸収されないため安全に使えます。ただ、効果が少し弱いお薬です。
3.その他のお薬
症状が強い場合局所ステロイド剤のフルナーゼ、ナゾネックスなどの点鼻薬、リンデロン、フルメトロンなどの点眼薬も用いる場合もありますが、血中に吸収される量はわずかなので基本的に妊娠のどの時期においても安全に使用できます。
なお、リンデロンやフルメトロンは妊娠中の長期使用を避けるように添付文章にありますので、注意してください。
ただ、花粉症の時期だけなら問題はないでしょう。
いよいよ花粉症の季節を迎えます。
ほとんどのお薬は安全に使えますので、どんと構えて行きましょう。