『日本アンドロロジー学会 第37回学術大会』に参加してきました
こんにちは、培養室です。
長い梅雨もようやく明け、連日厳しい暑さが続いていますね。
皆様、体調は大丈夫でしょうか? 熱中症などには気をつけて下さい。
少し前になりますが6月15・16日に兵庫県の神戸で開催された
『日本アンドロロジー学会 第37回学術大会』に参加してきました。
アンドロロジーとは
アンドロロジーとは男性学・雄性学を意味しています。
今回の学会テーマは「パパを目指してUro(泌尿器科)、Gyne(婦人科)、ART(生殖補助医療)がお手伝い」でした。
男性不妊症にまつわる講演や発表が中心でした。そのうちの、提供精子を用いた人工授精(AID:artificial insemination with donor’s semen)についての発表についてご紹介します。
AIDは日本で唯一の配偶子※提供による不妊治療です。
(※配偶子とは精子・卵子のことですが、ここでは精子のことを指しています。)
今までにAIDにより1万人以上の児が誕生しました。
しかし、現在ではAID実施施設は全国で12施設まで減少し、地域により偏りがあります。AIDを受けることができるのは、精巣から精子を取るTESE(精巣内精子採取術)を行っても子供が授かれなかった場合に限られます。そのTESEも、「精液中に精子が確認できない」「確認できても受精に関与できる精子がいない」などの理由で行うため、AID実施には高い壁があります。更に、この対象に該当し、成功する確率は1割もありません。
また、日本では提供精子による顕微授精(ICSI)は認められていません。
提供精子による人工授精が認められていて、顕微授精が認められていない国は日本以外ほとんどありません。AIDの児を得る確率が1割にも満たないことを考えると、今後我が国でも「提供精子を用いたICSI」を考えていく必要があるのではないかと思いました。