紡錘体観察について
こんにちは、培養室です。
先日、当院に新しい倒立顕微鏡のデモ機が入ってきました。
この顕微鏡では、今まで見ることができなかった紡錘体を観察する事が出来ました。
皆さんは紡錘体をご存知でしょうか?
紡錘体は卵子細胞質の中に存在し、受精・分割時に遺伝情報である染色体を均等に分配する重要な役目を持つ細胞内小器官です。
この器官は加齢による酸化や顕微授精時の細胞質吸引によりダメージを受け、崩れてしまうと染色体を上手く分配できなくなることにより胚に様々な悪影響を及ぼします。
紡錘体は一般的な顕微鏡では目視で確認することが出来ません。
ただ一般的に採卵で回収できる卵子では極体と呼ばれる物体(下の写真の緑丸で囲っている部分です)の近くに紡錘体があると言われているため、我々培養士が顕微授精を行う際は、極体付近の細胞質を吸わないように細心の注意を払っています。
しかし、そんな紡錘体を目視で確認することが出来る方法があります。
倒立顕微鏡に特殊なフィルターをセットし、顕微鏡の設定も紡錘体モードにすると………
紡錘体が確認できるようになります。
写真の黒丸で囲っているほのかに赤く光っている部分、これが紡錘体です。
こうしてみるとやはり紡錘体は極体の近くにある事がわかりますね。
卵子についてはまだ解明されていないことも多く、こうした新しい技術を知ることは私達にとって良い刺激になります。
今回の紡錘体に関してもディスカッションを重ね、より安心安全な状態で皆様の元にお返しできるよう努めたいと思います。