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ビタミンDと不妊治療の関係性

こんにちは、培養室です。

身体を日々健康に保つには必要な栄養素がたくさんあります。身体の中では十分な量を合成できないものは、基本的に食事から取り入れる必要があります。

 

食事に含まれている栄養素はタンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルに分類されます。それぞれの大きな役割は、身体をつくる、身体を動かすエネルギー、身体の調子を整える効果があります。細かく見ていくと、タンパク質は身体の主要な構成成分です。脂質、炭水化物は身体を動かすエネルギー源です。ビタミン、ミネラルはタンパク質、脂質、炭水化物の分解・合成を助ける働きがあります。

 

また、いくつかあるビタミンの中でもビタミンCは美容の場面で注目されており、女性の方に馴染みがあるのではないでしょうか? 美容だけでなく、疲れやだるさの回復にも効果があり、健康には不可欠です。しかし、日本人の多くは慢性的なビタミン不足です。

 

ビタミンDの作用

さて、今日はいくつかあるビタミンの中でも「ビタミンD」に注目してみました。

一般的にビタミンDは骨の形成に必要なカルシウムの吸収を小腸や腎臓で促す働きが知られていますが、近年では、妊娠や不妊治療の結果にも関係があることが分かってきました。

 

次の論文はビタミンDの血中濃度が不妊治療を受けている女性に及ぼす影響について発表したものです。

Vitamin D and assisted reproductive treatment outcome: a systematic review and meta-analysis.

Hum Reprod. 2018 Jan 1;33(1):65-80.

 

この論文では、ビタミンDと体外受精に関連する論文を集め、そのデータを総括して再評価をしており、以下のような結果を示していました。

■ビタミンDの血中濃度が十分に保たれている場合、臨床的妊娠率・出産率が有意に高い

■ビタミンDの血中濃度が不足している場合、生化学的妊娠率が有意に高い

■ビタミンDの血中濃度の過不足がない場合、流産率に有意な差はない

ビタミンDを積極的に摂取することは妊娠、出産によい影響を及ぼす可能性が高いと言えます。

 

不足しがちな要素を補うためのサプリメントもたくさん出回っていて、けれど具体的にどれくらい必要なのか、自分の食生活には何を取り入れればいいのか悩んでしまいますよね。健康的な食事を摂っていれば大丈夫とはいうものの……コンビニは便利だし、お菓子は美味しいし……。

 

ビタミンDを増やすには?

ビタミンDは食物なら魚類(サケ、ウナギの蒲焼き、サンマ、ヒラメ、カレイetc.)、キノコ類(干し椎茸、キクラゲ)によく含まれます。魚類やキノコ類と比べて少し含有量は減りますが、卵黄にも含まれます。

成人の摂取目安は5.5μg/日です(下図参照)

ビタミンDに関してはもう一つ、有効な方法があります。

 

日光です。

 

ビタミンDは日光に当たることで、体のビタミンDの貯蔵量が増えます。

日照時間が長く、日光の明るさが増す夏と秋には高い妊娠率が得られるという報告もあります。太陽の光を意識した生活を心がけ、ビタミンDを多く含む魚や、きのこなどを積極的に食事に取り入れてもよいかもしれません。ただし、この酷暑では、熱中症の危険性が非常に高いです。くれぐれも健康を損ねない程度に留めてくださいね。

 

用語解説

○生化学的妊娠

尿を用いる妊娠判定で反応は出たものの、超音波で胎嚢(赤ちゃんが入った袋)が見られず、流産した状態

 

○臨床妊娠

超音波検査で子宮内に胎嚢が確認できた状態

この記事を書いた人

培養室

培養室

不妊治療・体外受精専門のなかむらレディースクリニックの医師や培養士が監修

なかむらレディースクリニックは、不妊でお悩みの方々に安心して不妊治療、体外受精をうけていただくためのクリニックです。朝8時から診察し、平日は木曜日を除いて夜7時まで受付をしています。日曜日、祝日も年末年始以外休まずに診察し、多忙な方でも相談していただきやすい不妊治療を目指しています。

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