人工授精を何回目までトライする? ステップアップのタイミング
こんにちは、培養室です。
先日、顕微授精等で使用する倒立顕微鏡を新しく入れ替えました。その話は近日またコラムとして上げられたらなあと思っています。
今回は人工授精の回数についてお話をしようと思います。
培養士と人工授精ってあんまり関係がないのでは? と思われる方もいらっしゃるかもしれません。当院では、精子精製をするところに培養士が関わっています。密度勾配遠心法という方法を用いて精製を行うことで、不良精子(形の良くない精子、動いていない精子など)を除くこと、運動性の良い精子を集めることができます。
さて、今回2017年に人工授精を行った全ての方を対象に調べてみたところ、妊娠が成立するまでの回数に顕著な差が見られました。
図のように半数近くが初回で、4回目までに8割弱の方が妊娠していることになります。6回目までを含めると9割以上が妊娠されていました。11回目以降の方は13回目に妊娠された1症例のみでした。
人工授精から体外受精へ、ステップアップのタイミングを悩まれている方も多いと思います。
ただ、今回の結果からもご覧いただけるように、ステップアップを検討されているのであれば、あまり長く人工授精を続けることに関してメリットは多くないように見受けられました。
当院では、治療を受けられるおふたりの年齢・身体の状態も加味したうえでステップアップのタイミングをご提案させていただいています。何回ぐらいでステップアップするか、あるいは体外受精には進まないのか……、一度、おふたりでお話をされてみてはいかがでしょうか?
皆さんの選択をバックアップできるよう全力で頑張ります。