小卵胞から採れる卵子は正常か? +培養室年末のご挨拶(2020)
こんにちは、培養室です。
今週は本当に寒かったですね。次はクリスマス頃から年末に掛けて寒くなるのだそうで、なるべく早いうちに部屋の掃除を終わらせてしまおうと思います。
さて、採卵時の方針として、当院医師は可能な限り卵胞を穿刺して採卵を試みています。(参考:2018.04.03院長コラム)
これに関して、たまーにですが、「小さい卵胞から採れた卵は正常なのか?」というご質問をいただくことがあります。
今回ご紹介する論文は「卵胞径とそこから採れる卵子の染色体正常率に関係はあるか」について調べたものです。
Follicle size indicates oocyte maturity and blastocyst formation but not blastocyst euploidy following controlled ovarian hyperstimulation of oocyte donors
Hum Reprod. 2020 Mar 27;35(3):545-556. doi: 10.1093/humrep/dez291.
現在に至るまでに、卵胞径とそこから採れる卵子の成熟度合に関して一定の関係があることがわかっています。16mmを超える卵胞からは成熟卵が、小卵胞からは未熟な卵子が採れやすい傾向にあります。この研究は、ドナー卵子(ドナー22名/平均年齢:24.5±3.5 歳)を用いて顕微授精を行った症例を追いかけたものです。
結果として、①卵胞径と卵子の成熟には正の相関があること、②卵胞径と正常受精(2PN)の出現率には関係が見られないことが分かりました。
また、成熟卵で採れたものの方が胚盤胞には至りやすいものの、PGT-Aを行った結果、③卵胞径とPGT-Aの結果にも関連が見られませんでした。
PGT-Aの結果には、染色体分配のエラーがどこで起こったか、精子由来の異常の可能性など、色々な要素を考えないといけないので難しいところではありますが、今回の研究では小卵胞から採れてくる卵子でも問題はないという結果のようです。
培養士としては、採れてくるたまごは全部成熟卵であって欲しいところですが、採れてきた卵子はいずれも区別せず、大事にお預かりさせていただきます。
今年の培養室コラムは今回で最後です。
来年以降も頑張って参りますので、よろしくお願いいたします。
2019年の残り10日と少し、どうぞ良い年の瀬をお過ごしください。
培養室一同
⭐︎なかむらレディースクリニックよりお知らせ⭐︎
年末年始の当院診療予定は以下の通りです。
12月25日(金) 午後休診
12月26日(土) ~ 1月4日(月) 休診
※1月5日(火)より診療開始。
1/5~1/11頃は例年予約が集中するため、院内が非常に混雑すること、また、待ち時間の長時間化が予想されます。ご予約、ご来院の際にはあしからずご了承くださいますようお願い申し上げます。