体外受精の保険適応①
こんにちは、培養室です。
おちおちと咳もくしゃみもできないというのに、今年は花粉も黄砂も容赦がなくて困っています。つらい季節が続きますがどうにか頑張りましょうね。
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花粉症はつらいけれど、妊活に薬が差し障るのでは……とお困りの方は、院長コラムをぜひ一度ご覧ください。
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不妊治療の保険適応を日本でも検討する、という報道が世に飛び出して半年と少しが経ちました。この1月から助成金制度が拡充され、予定通りに進めば来年4月から保険適応が開始されるはずです。
話は変わりますが、2019年に遡って『キムリア』という薬の保険適応が決まりました。
ガン治療に用いられるこの薬は、価格が3000万円を超えることで話題になりました。それだけの価値があるということでもあります。「三割負担すら無理ですが⁈」と叫び出してしまいそうですが、高額な治療に対する助成があり、実際にはもっと安価に治療を受けることができます。効く人には劇的に効くという触れ込みですが、同時に、対象者は年間250例ほどだと見込まれています。
では不妊治療の話に戻って、不妊治療が保険適応になる時、どのように適用されるのでしょうか。
一口に「不妊」と言っても、そこに至る原因は様々です。不妊に結びつく要素は非常に多岐にわたり、それがカップルの数だけその要素が掛け合わさることになります。結果、治療方法や成功率は細分化され、複雑化しがちです。その細かなところにピタリと合わさるような、個人個人に合わせた治療とは対象的に、保険適応するにはどこかで線を引く必要があります。それが限定的なものになることで、治療の質が低下しては困る……助成金拡充を推進するべきだという意見にはそのような懸念があるからなのではないでしょうか。
不妊治療の保険適応がある場合とない場合とでどのような違いがあるのか調査した論文がありましたが、前置きが長くなりすぎましたので、次回ご紹介します。